Salesforce: 一定の条件を持つ関連レコードのみフローで一括更新を行う方法

はじめに

こんにちは。
今回は、一定の条件を持つ関連レコードのみフローで一括更新を行う方法についてご紹介します。
条件を満たすレコードのみを取得し、ループを作成することによって可能となります。

では設定方法をご紹介していきます。

一定の条件を持つ関連レコードのみフローで一括更新を行う

1. 事前準備

今回設定方法をご紹介するにあたって、以下の要件のレコードトリガーフローを作成していくこととします。

＜要件＞
「取引先」の選択リスト項目を更新したら、「商談」の関連レコードにおいて同名の選択リスト項目を以下の条件で一括更新する
　・「商談」レコードの選択リスト項目が未入力の場合、更新後の「取引先」の選択リスト項目の値で更新する
　・「商談」レコードの選択リスト項目が入力済みの場合、何もしない

＊　使用する選択リスト項目 ⇨ 「一括更新テスト」（API参照名：Picklist_UpdateTest__c）
　　選択リスト値 ⇨ 「選択肢①」「選択肢②」「選択肢③」

2. フローを作成する

① レコードトリガーフローの作成を開始する

レコードトリガーフローでフローを作成していきます。[設定] > [フロー] > [新規フロー] を選択し、画像①の画面で[レコードトリガーフロー]を選択し[作成]をクリックします。

② フローの開始要素を設定する

[作成]をクリックすると、フローの開始要素の設定画面が画像②のように画面右側に表示されるので、「一括更新テスト」項目が更新された際のみフローが起動されるように以下の設定を行います。

オブジェクト： 取引先
フローをトリガーする条件： レコードが更新された
条件の要件： 
すべての条件に一致（AND） ⇨ これによって、「一括更新テスト」項目が更新された際のみフローが起動します。
 [項目]Picklist_UpdateTest__c [演算子]変更済み　[値]{!$GlobalConstant.True}
更新されたレコードでフローを実行するタイミング： レコードを更新し、条件の要件に一致するたび
フローを最適化： アクションと関連レコード

③ 一定の条件を持つ関連レコードを取得する

トリガーレコードに関連する「商談」レコードに対して更新を行うために「商談」レコードを取得していきます。②で設定した開始要素の下にある[ + ]をクリックし、画像③のように[レコードの取得]を選択します。

その後表示される画像④の設定画面では以下の設定を行います。1. でお伝えした要件にあるように一定の条件を満たす関連レコードのみ更新を行いたいので、取得するレコードの絞り込みを行っています。

オブジェクト： 商談
表示ラベル： 関連する「商談」レコード取得　（任意）
API参照名：　　Get_RelatedOppRecords　（任意）
商談レコードを絞り込み： すべての条件に一致（AND）
⇨ これによって、トリガーレコードに関連する「商談」レコードのうち、「一括更新テスト」項目が未入力のレコードのみ取得されます。
[項目]AccountId [演算子]次の文字列と一致する　[値]{!$Record.Id} 　　
[項目]Picklist_UpdateTest__c [演算子]null　[値]{!$GlobalConstant.True}
商談レコードを並び替え： 並び替え
保存するレコード数： すべてのレコード
レコードデータの保存方法：　項目を選択して変数を割り当てる (高度)　⇨ フローの処理で使用するために変数を作成します。この後作成手順を説明していきます。

[レコードデータの保存方法]で「項目を選択して変数を割り当てる (高度)」を選択したら、[商談を保存する変数を選択]では変数を作成します。
[レコードコレクションを検索...]ボックスをクリックし、表示される[ + 新規リソース]をクリックしコレクション変数を作成します。画像⑤の画面が表示されるので、以下のように入力を行い[完了]をクリックします。このコレクション変数には取得したレコードのデータが保存されており、今後のフローの処理で使用します。

リソース種別：　変数
API参照名：　CollectionVar_RelatedOppRecords　（任意）
データ型：　レコード
複数の値を許可 (コレクション)：　チェックをつける

次に、コレクション変数に保存する商談項目を選択します。画像⑥のように[項目]に「Picklist_UpdateTest__c」を追加します。以上で[レコードの取得]の設定は終了です。

④ 取得した関連レコードに対してループ処理を行う

③で作成したコレクション変数に保存された「商談」レコードの「一括更新テスト」項目の値を「取引先」レコードの「一括更新テスト」項目の値で更新する処理を行っていきます。
変数には複数の「商談」レコードの「一括更新テスト」項目の値が存在している場合があり、個々の項目に対して更新する処理を行う必要があります。このような反復処理にはフローの[ループ]要素を使用します。

③で設定した[レコードを取得]要素の下にある[ + ]をクリックし、画像⑦のように[ループ]を選択します。

その後表示される画像⑧の設定画面では以下の設定を行います。

表示ラベル： 関連する「商談」レコードループ　（任意）
API参照名：　　Loop_RelatedOppRecords　（任意）
コレクション変数を選択： {!CollectionVar_RelatedOppRecords} ⇨ ③で作成したコレクション変数
コレクションを反復処理するための方向を指定します。： 最初の項目から最後の項目へ

A. トリガーレコードの選択リストの値を変数に割り当てる

次にループ内でコレクション変数の個々の項目に対して行われる反復処理を設定していきます。具体的には「商談」レコードの「一括更新テスト」項目の値を「取引先」レコードの「一括更新テスト」項目の値で更新する処理を設定します。
④で設定した[ループ]要素の下にある[ + ]をクリックし、画像⑨のように[割り当て]を選択します。

その後表示される画像⑩の設定画面では以下の設定を行います。

表示ラベル： トリガーレコードの選択リスト値を変数に割り当て　（任意）
API参照名：　　Set_PicklistValue_TriggerRecord　（任意）
変数値を設定： 
[変数]{!Loop_RelatedOppRecords.Picklist_UpdateTest__c} [演算子]次の文字列と一致する　[値]{!$Record.Picklist_UpdateTest__c}
⇨ ループ変数{!Loop_RelatedOppRecords.Picklist_UpdateTest__c}にトリガーレコードの選択リスト値を割り当てています。

（変数値を設定について）
ループ変数とは、ループの反復中に現在の項目の値を保存する変数です。この変数には「商談」レコードの「一括更新テスト」項目の値が保存されているため、この設定によって値をトリガーレコードの選択リスト値で上書きします。

B. コレクション変数へ変数の値を追加する

A. で変更を加えたループ変数の内容を保存するためにコレクション変数を作成し、そのコレクション変数へループ変数の内容を追加します。
A. で設定した[割り当て]要素の下にある[ + ]をクリックし、画像⑪のように[割り当て]を選択します。

その後表示される画像⑫の設定画面では以下の設定を行います。

表示ラベル： ループ変数の値を更新用コレクション変数に追加　（任意）
API参照名：　　Add_LoopVar_UpdateCollectionVar　（任意）
変数値を設定： 
[変数]（以下で新規作成するコレクション変数を設定） [演算子]追加　[値]{!Loop_RelatedOppRecords}
⇨ A.でトリガーレコードの選択リスト値を割り当てたループ変数の値をコレクション変数に追加しています。

[変数値を設定]ではコレクション変数を新規作成します。[変数を検索...]ボックスをクリックし、表示される[ + 新規リソース]をクリックしコレクション変数を作成します。画像⑬の画面が表示されるので、以下のように入力を行い[完了]をクリックします。

リソース種別：　変数
API参照名：　CollectionVar_Update_RelatedOppRecords　（任意）
データ型：　レコード
複数の値を許可 (コレクション)：　チェックをつける
オブジェクト：　商談

⑤ 関連レコードを更新する

④のループ処理によって④のB. で作成したコレクション変数へ、トリガーレコードの選択リスト値で上書きされた「商談」レコードの「一括更新テスト」項目が保存されました。このコレクション変数を使用して、「商談」レコードを一括更新します。
④で設定した[ループ]要素の[最後の項目の後]の下にある[ + ]をクリックし、画像⑭のように[レコードを更新]を選択します。

その後表示される画像⑮の設定画面では以下の設定を行います。以上で一定の条件を持つ関連レコードのみ一括更新を行うフローの作成は完了です。[保存] をクリックして、[有効化] をクリックします。

表示ラベル： 関連する「商談」レコード一括更新　（任意）
API参照名： Update_RelatedOppRecords　（任意）
更新するレコードを検索してその値を設定する方法： レコードまたはレコードコレクションからの ID およびすべての項目値を使用
更新するレコードを選択：　{!CollectionVar_Update_RelatedOppRecords}　 ⇨ ④のB.で作成したコレクション変数

3. 作成したフローを確認する

最後に以上で作成したフローによって、実際に以下の要件を満たしてレコードが更新されるのかを確認していきます。

＜要件＞
「取引先」の選択リスト項目を更新したら、「商談」の関連レコードにおいて同名の選択リスト項目を以下の条件で一括更新する
　・「商談」レコードの選択リスト項目が未入力の場合、更新後の「取引先」の選択リスト項目の値で更新する
　・「商談」レコードの選択リスト項目が入力済みの場合、何もしない

＊　使用する選択リスト項目 ⇨ 「一括更新テスト」（API参照名：Picklist_UpdateTest__c）
　　選択リスト値 ⇨ 「選択肢①」「選択肢②」「選択肢③」

確認には画像①の「取引先」レコードを使用します。このレコードの「一括更新テスト」項目を更新した際に関連する「商談」レコードの「一括更新テスト」項目が自動で更新されるかについて、「商談」レコードの「一括更新テスト」項目が未入力の場合、「商談」レコードの「一括更新テスト」項目が入力済みの場合で確認してきます。

① 「商談」レコードの「一括更新テスト」項目が未入力の場合

「取引先」レコードの「一括更新テスト」項目を更新した際に「商談」レコードの「一括更新テスト」項目が未入力の場合、更新後の「取引先」の「一括更新テスト」項目の値で「商談」レコードが更新されるか確認します。画像②のように「取引先」レコードの「一括更新テスト」項目を「選択肢①」で更新します。

② 「商談」レコードの「一括更新テスト」項目が入力済みの場合

「取引先」レコードの「一括更新テスト」項目を更新した際に「商談」レコードの「一括更新テスト」項目が入力済みの場合、「商談」レコードは更新されないか確認します。画像⑤のように「取引先」レコードの「一括更新テスト」項目を「選択肢②」で更新します。

更新後、「商談」レコードを確認すると、画像⑥・⑦の赤枠で囲んだ箇所のように「商談」レコードは更新されていないことが確認できました。

まとめ

今回は、ループ要素を使用して一定の条件を持つ関連レコードのみフローで一括更新を行う方法をご紹介しました。
ループ要素の設定は他のフローの設定より難易度が上がりますが、繰り返し行う必要がある業務プロセスやタスクを自動化することができる非常に便利な機能となります。

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